ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

「それは?」

「三号機ですよ」

「えっ、三号機!」

もう次を?

「まだ作るわけじゃないですよ。予算もないですしね。ロイの反省点を生かして、ミライをベースにしたモデルのデータ構築をしてるところです。頭の中ではもう形も出来上がってるんですけどね。いつになるかわかりませんけど、今のうちから準備しておけばすぐ実行に移せますから」

と、本田君がフッと口元を緩めながらズレたメガネを押し上げた。

「立ち直るの、早いね」

そう声を掛けると、本田君が画面を見つめたまま返してきた。

「研究に失敗はツキモノだって所長がよく言ってるんです。多かれ少なかれ失敗には得るものがある。失敗を悔やんでるぐらいなら、気持ちを切り替えて失敗から学んだことを次へ繋げた方がいい」

「なるほど」

いい言葉だな。所長の経験から得た教訓ってトコロかな。

「まあ、そうでもしないとやってられませんよ…」

とポツリと呟いた言葉に、本田君の本音が聞こえた気がした。