ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

(ムム…)

イヤな予感。ゆっくりと扉に近寄ってそ~っと開けてみた。と、廊下にいかにも理系オタクな学生たちの姿が。

「あの、こちらにロボットがいますか?」

と興味津々に目を輝かせるみんな。

「い、いえ、ここには…」

とっさに首を振って返したが、学生たちが我先にの勢いで詰め寄って来た。

「この実験室にいるって学内サイトで見たんですけど」

と盛んに首を振って覗き込もうとする学生たち。と、その時内線電話が鳴った。

「あっ、電話なんで」

と強引に扉を閉めてフ~ッと一息ついて、電話に駆け寄り受話器を取った。と聞こえてきたのはルミちゃんの声。

「あっ、そこに居たんだ先生、大変よっ」

と息せき切って言葉を続けてきた。

「こっちに学生がたくさん集まってて、」

うん、それは知ってる。

「私が、ここにミライさんは居ないって言ったら、」

うん、言ったら?

「理学部らしい一人が、じゃあ実験室だぞって言って走り出して、ここに居たみ~んながそっちに向かって動き出したわ!」

えええっ!

「逃げ出すなら今のうちよ!早く!」

じょ、冗談じゃない!ここにあの数で押し寄せられたら、身動き取れなくなる!

「出ようミライッ!」

パッとミライの手を掴んで、扉を勢いよく開け、よろめいた学生たちの間を掻き分けて階段室に飛び込み、ダダダッと駆け下りた。

(どうしよう)

こんな時に行く所があるとすれば、

「所長の所しかないっ」

校舎を駆け出した勢いで大学を出て、タクシーを捕まえて研究所へと向かった。