ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

 金曜日の朝。実験室の扉を開けると、椅子に座ったままこっちを振り向く広海君の姿があった。

「おおっ、広海君!」

「おはようございます先生」

と、ニコリともせず挨拶をする広海君。

「お、おはよう」

う~ん、どこか他人行儀だな。

「ミライさんもおはようございます」

と、ミライには微笑みかける広海君。

「おはようございます」

とミライが笑みを返すと、広海君が脇机に置いていたバッグの中に手を突っ込んだ。

「そうそう先生、こんなの売ってたわよ」

と、広海君が僕の机の上に週刊誌をポンと置いた。

「なっ…」

表紙に踊るタイトルに目を奪われた。

『速報!密室の研究室で絡み合った禁断の愛の悲しい結末!』

って、こりゃまた週刊誌やワイドショーが喜びそうな話だナ。

「世の中大騒ぎね。今朝テレビで言ってたけど、ロボットが車の運転をする事の是非が国会でも議論になってるそうじゃない。国を挙げての大問題よ。そのうち所長さんが証人喚問に引っ張り出されるかもね」

と腕を組んでウンウン頷いてる広海君。

「そうか…」

世の中そんな所まで話が進んでるのか。

「…それで、今日はその事を言いに?」

わざわざここまで?