ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

「いいか、そもそもこの件の発端は、二号機の車の運転をみすみす認める結果になった、貴様の監督不行届きが原因だ。わかっとるんだろうな。責任は取ってもらう。貴様は減棒六ヶ月だ。しっかり肝に銘じておきたまえっ」

「はい…」

無表情で答える所長。わかりますよ所長の心中は。

「それとだな」

まだあるんですか!

「今回のクワン君の件で、残る予算は非常に厳しくなった。この冬の全職員の賞与はカットだ。いいな。このままでは来年度の研究員の人員削減も検討しなければいかん」

と首を振る局長にみんながサッとざわついた。この冬の賞与のカット、さらに人員削減も検討とは厳しい言葉だ。

「これからは、予算を必要とする仕事は全て私の承認を得てから取り掛かりたまえ。どんな作業もだ。いいな。手を抜いた仕事は許さんからな」

と局長が鼻息を荒げて続けた。

「フン、まあ、これで君たちも、今までに増して緊張感を持って仕事に励めるのじゃないのかね」

とイヤミな感じでみんなを見回す局長。

「わかりました局長。来週にはロイの原因究明が出来るよう、全力を尽くします」

「当然だ」

と言葉を吐き捨てた局長がピリピリとした緊張感を残して、のしのしと研究室を出て行った。

「ねぇなんなの、あの人」

と後から広海君が憮然と所長に問い掛けた。

「ああ、ここの事務局長だよ。怒りっぽい人でさ。気にする事はないよ、いつもの事だからさ」

と優しく微笑みかけた所長が、パッと振り返った。