ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

「でも、どうして急にここを手伝うなんて…」

あんなに怒って飛び出して行って、一体何があったんだ?と、奥からコーヒーを持って戻ってきた本田君が口を開いた。

「朝、ここへ飛び込んできたんですよ。どうして私をダマしたのか所長に理由を聞かせなさいよって、血相を変えて」

えっ、ここに来たのか広海君。

「それで、所長室に案内して、昼頃出てきたと思ったら、こうなってました」

と両手を広げる本田君。

「それじゃ所長が、」

あの広海君を宥めて怒りを静めたってコトか?一体所長はどんな魔法を使ったんだ?

「ええ、私も気になって所長に聞いたんです。彼女になんて言ったんですかって」

ウンウン、それで?

「そしたら、彼女にお願いしたそうなんですよ」

「お願い?何を?」

聞き返すと、本田君がフッと笑みをこぼした。

「ここで、今まで誰もやっていない、新しい学問を興してみないかと」

「新しい学問?」

それは何だ?

「ええ。所長の言葉をそのまま借りると、こうです」

と本田君が、カップを机の上に置いて向き直り、一度咳払いをしてから、ゆっくりと口を開いた。