ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

「ええ。助手席側から信号無視の車にぶつけられて、一命は取り留めたんですけど、意識が戻る見込みがないって言われて…」

本田君の落ち込みようがハッキリとわかる。クワンはかなり重体のようだ。

「それで両親が飛んで見舞いに来た訳か」

心配で堪らないだろうナ。

「ただ、それだけじゃないんですよ」

と首を振って、溜息交じりに呟く本田君。

「え?」

それだけじゃない?

「はい。クワンの両親、弁護士も一緒に連れて来たんです。クワンをアメリカの病院に連れて帰る事にした、ついてはその費用と慰謝料を払えって」

「ええっ?」

さすが、訴訟大国アメリカだ。言うことが違う。

「そりゃ大変だね」

只でさえこんな事になって大変だってのに。

「今、局長が眉尻を吊り上げなら応対してますよ」

えっ、あの局長が。

「そりゃ大変だ」

かなりご立腹な事だろう。くわばらくわばら…。

「そうそう、大変な人がもう一人、上に来てるんですよ」

と溜息をこぼす本田君。

「大変な人って?」

聞き返すと、本田君が首を振って振り返った。