(自然科学研究科?)

今度は理科系ですか?ずいぶんまた真反対から来ましたねぇ。しかも、彼女の羽織る白衣の胸の膨らみがバンッと大きいし。

(はは~ん…)

今回はあの手この手で攻めて来るじゃないですか。もちろん、意識はしますけど。

(でも、心と体は別ですから教授)

僕が求めるのはダイナマイッ☆じゃありませんっ。と、所長さんが上着の内ポケットからごそごそ名刺を取り出して、前に出てサッと差し出してきた。

「初めましてぇ!ワタクシ只今ご紹介頂きました、近未来研究所の所長をやっております、栗栖次郎と申しますっ!いやぁ~、早くあなたにお会いしたかった!」

とヤケに陽気な明るい声で顔を突き出してくる。

(あなたホントに所長ですか?)

ノーテンキなこの明るさは何だ?と怪訝に思いながら差し出された名刺を受け取ると、所長さんがフッと顎を引いて目を輝かせた。

「いやぁ~、実はあなたに是非お願いしたい共同研究がありまして」

えっ、共同研究?縁談話じゃなくて?

「教授には既にご相談しましてね、それは良いと話を進めさせて頂いてまして~」

とニッとニヤける所長。頭が混乱するんですけど。

「どういう事ですか教授?」

共同研究なんて話、今まで一言も聞いてませんよっ?

「大体、何の共同研究が出来るんですか、理系の研究所と僕が。ワケがわかりませんよ」

と問い詰めると、教授が僕の肩をポンッと叩いてきた。

「なあに簡単な事だ。明日から、所長の横にいる彼女を、君の研究室に手伝いとして受け容れてくれるだけでいい」

ハ?明日から彼女を?

「なぜなんですか?」

聞き返すと、教授がフッと息を吐いた。

「だから、共同研究の為に、だよ。細々と文句を言ってくれるな」

とじっと僕を見据えてくる教授。どうやら彼女が僕の研究室に来るのはもう決定事項らしい。ふと、初対面の緊張が窺える彼女と目が合った。見つめて初めて感じたのは、上手くやっていけるのかという不安。