ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

「…起きて、起きてよ」

と揺さ振られて目覚めると、目の前に眉を顰めた広海君の顔があった。

「どうしたんだよ…」

ソファから体を起こすと、そこには広海君一人で、ミライの姿がない。

「ミライは?」

ベッドの上はきれいに整えられていて既に気配はない。

「朝ごはん作るって卵を買いにいったわ。それより先生、」

と、広海君が僕の両肩をガッと掴んできた。

「どうして正直に教えてくれなかったのよ、ミライさんの事」

えっ!ミライの事って、まさかっ!?

「まさかミライの事、」

と、広海君がフッと目を閉じた。

「ミライさんから聞いたわよ」

なんてこった、まさか自分から言うなんて!

「どうして嘘ついたの、あのタンクの事」

…え?

「あの中身、栄養補給の薬なんでしょ。さっきミライさんがそういって飲んでたもの」

と玄関を振り返る広海君。そこでようやくわかった。メタノールのタンクを、ミライが薬だと言ってゴマかしたんだな。

「あ、ああ、実はそう、」

と言いかけた僕を遮って、広海君が言葉を続けた。