前に見える女子の群れに突っ込もうとしている私を、もう一人の私が冷静に俯瞰する。

 私って、ほんと変わらないな。

 小学生の頃から何一つ。

 子供っぽくて、臆病なくせに、妙にでしゃばりというか……あの頃見てた高校生と全然違う。もっと大人に見えてたのに。

「ちょっと待ってよ」

 ただ成長したことは、大人っぽくを装えることだ。

 あくまで装えるだけだけど。

「は?」

 女子の群れの中で声をあげたのは先頭の真ん中にいた河西さんだ。発言権はやはりボスにあるようでその他の女子は醜く目をつり上げさせてジロジロこっちを見てくるだけだ。

「昨日から変に文句つけてきたりするけど、それやめてくんないかな?」

「はぁ? 言ってる意味が分かんないだけど。ていうか、自意識過剰? 田口さんって被害妄想しちゃう人なの?」