謝るのはハルちゃんじゃないと言い返そうとしたけど、隣の彼女を見て開きかけた口を閉じる。

 俯くハルちゃんがぎゅっと、私の手を握っていた。

『好かれる自信がない劣等感』

『どうにか嫌われないように周りを監視して自分を守っている』

 トクラの言葉を思い出して、やりきれない思いでいっぱいになる。

 もし、また私があの子たちに何か言えば……ハルちゃんに迷惑がかかるかもしれないの?

 このままやられっぱなしで、ただ我慢するしかできないなんて。

 だけど、ハルちゃんから僅かに感じる震えに気付く。

 私は大丈夫、何もしないよと言葉にする代わりにぶつかった肩をさすった。

 何と言ってほしいのか

 何を言えば正解なのか。

 分からない。だけど。

「自分のこと、大事にしていいんだよ」

 ゆっくり顔を上げた彼女の驚いた表情を見て、ちょっぴり不安がやってくる。それでも、口下手な私なりに伝えたい言葉を探し当てていく。