「ハスミちゃん、帰ろう」

 帰りの挨拶やこれから遊びに行く誘い、今日の部活内容の話なんかで賑わう教室。

 これが十分もしない内に閑散としたものになるのだから、私たちがこの少ない高校生活をいかに慌ただしく生きているのだろうかと辟易してしまう。

「うん。今日も茶道部お休み?」

「今日は顧問の栗林先生がいないからね」

 残念そうに眉を下げるハルちゃん。

 一度だけ浴衣姿を(本当に恥ずかしがって渋々と)見せてくれたが、ため息が出るほど綺麗で似合っていて、ハルちゃんを茶道部に入部させた栗林先生はスゴい、とひそかに尊敬している。

 きっと、お茶を点てる姿も様になっているんだろうなと勝手に妄想してみる。

「いつか部活してるハルちゃんを見学させてね」

「えぇ!? は、恥ずかしいから……だめ」

「まぁ、気が向いたら呼んでよ。いつでも見に行くから」