可愛い子なんて山程いる。
こういう秘密の場所を自分の為に頑張って用意してくれたのを素直に喜んでくれる子も、ケイを傷つけるような言葉を言わない子も。
「私、どうしたらいいか分からなくて冷たくしちゃったり、イライラしたりして、余裕がなくて」
私は彼の寝顔に言い訳をする。
もし……もしも、私が恋を知って、そして更に私がケイを好きになったとしたら……?
静かに音をたてる鼓動が無知な私を馬鹿にする。
私自身も馬鹿ね、と私に言いながら眠り続ける彼を見る。
彼が少し身動ぎして、顔がこっちに向いた。至近距離にあるケイ。速まった心臓の音に変な意味はない。
……そう自分に言い聞かせて、そっと彼の手に私の手を重ねてみる。
彼曰く、恋人っぽく。
ドキドキする。
本当の恋人なら、もっとドキドキするのかな。


