教師っぽく腕を組んで言ってみる。
ケイは欠伸を噛み締めて少しだけ笑った。背中をもたれさせると、太陽を見上げて眩しそうに目を閉じた。
「ここを残してもらうには一つだけ条件があるんだ」
「条件?」
「うん、この庭の手入れをすること」
改めて見てみると、ベンチがある周りは綺麗に草が刈られていて、彼の横顔に見入る。
「ケイが一人で?」
「うん、そう」
微睡みはじめているのか、ケイの声がくぐもる。薄く開いている目も重そうだ。
私はやれやれという感じでため息をこぼし、寝るように促す。けれど……
「ううん……俺、こんな日が来るために、頑張ってて……」
「なんのこと?」
「この場所を、二人だけの秘密の場所にしようと思ってたんだ。綺麗にして、ハスミを呼んで、このベンチに並んで座って……特別な話でも、くだらない冗談でも言い合って……恋人っぽく、手なんか繋いで…………」


