彼のマスター姿を想像してみる。……高校生のケイには全く似合わなかった。それは当たり前だろうけど。
「あ……ハスミ、今、似合わないと思った?」
「うーん、ちょっとね」
正直に言えばケイが笑いながら私の方に寄りかかってきて、それを押し返しながら彼に聞く。
「ほんとに、このお店を継ぐの?」
体を元の体勢に戻し、首を軽く振ったケイは風に揺れる草花をぼんやり見つめた。
「うーん、分からない。その時はマスターの話聞いてカッコいいと思ったし、勢いで二つ返事しちゃったんだけど……とにかく、自分の店を開くっていうのが夢だから」
漠然とした話なのに、ケイならいつか本当に叶えてしまうんじゃないかと思えるのが不思議。
それに、話しているケイの横顔が格好よく見えるのも。……いつもよりはって話だけどね。
「でも、こんな風に学校抜け出して、ここに来て良いってことではないんじゃない?」


