長く、退屈な午前の授業が終わって、お昼休憩。教室の窓側、一番前のハルちゃんの席に向かい合って座って、お弁当を一緒に食べる。

 だけど、今日は二人とも口数は少ない。

 教室はいつも通り騒がしい。

 私の頭の中は、ただ一つのことが占領していた。……ケイという、よく分からない奴のことで。

 だって、昨日の告白をこっぴどく振った(私だって周りに誰もいない一対一ならもうちょっと優しく言ったはずだけど)相手に懲りずに向かってくるなんて。

 癖毛なのかくるくるした寝癖はそのままで、眠たげな目は男の子なのに色っぽくて、その目に見つめられて怯んでしまった私は、それでも「無理」と言った。

 しかし、何でかそれが通じず、彼は首を傾げて微笑むと……

「昨日、俺のこと見てくれたよね。その時も……それから、今も顔赤くしてて可愛い」

 馬鹿にされている。そう思うと無性に腹が立って、チャイムが鳴って担任が現れなかったら、彼に平手を上げていたかもしれない。