アウト*サイダー


「ハスミ」

 隣から聞こえた声で現実に引き返される。

 ケイが再び細い道を私の手を引いて歩き、ベンチへと戻る。

「俺がここを見つけた時に、偶然マスターだった爺さんと鉢合わせてさ」

 壊れた鉄柵を見つけた彼がそれをくぐり抜けて、陽射しに目を細める。それから様子を見渡していると、見知らぬ男性がやって来る……その光景が思い浮かぶ。

「あれはまじで焦ったな。不法侵入で通報されてもおかしくなかったから」

 必死に弁解するケイの姿を想像して笑ってしまう。

「でも、マスターがすごい良い人でさ。ここの店の事とか、色々話していく内に仲良くなって、自分は病気で店を続けられなくなったけど俺がいつか継いでくれるなら、それまでここを残しておくからって言ってくれたんだ」

「じゃあ、ケイも喫茶店のマスターに?」