どこに行くのかと思っていると、平屋の建物の脇にある細い道を通っていき表に回る。
そこには裏と同じ、こじんまりした佇まいに玄関のドアと小窓があり、ケイが窓を覗くので私も倣って中を覗き込む。
「喫茶店……だよね?」
カウンター席といくつかのテーブル席。
明かりがなくてよく見えないけれど、それはカフェというよりも喫茶店という響きが合うものだった。
「そ、ここは俺らが高校入学する前に閉店になったらしい」
人のいないお店。
飾られたままの絵、置き去りにされた時計や食器。
そこだけが違う時間が流れているような、不思議な雰囲気がある。
ここで、どんな人たちが過ごしたのだろうか。


