「でもさ、青田先生が来てくれて無事課題も出せたし、結果オーライじゃない?」
激辛とだけ命名されたラーメンを事も無げにすすって言った須賀さん。レンゲですくった真っ赤なスープは見ているこっちの口が痛くなる。
延々と続きそうだった前澤先生の小言は、学年主任の青田先生が来たことでぴたりと止んだ。
『何か言いたいことがありそうだけど、ここで言えるかな?』
ちらりとだけ前澤先生を見た青田先生が目尻に皺を作って私に問いかけた。
私が幼い頃からお店の常連さんだった青田先生は親戚よりも近しい存在で、どんな時だってその笑顔を見ただけで心が落ち着く。
私は息を整えて、それから頭を下げた。
『勝手に学校を抜け出して、すみませんでした。……あと、図々しいのは承知なのですが、課題の提出期限はまだ間に合いますか!?』
青田先生と、ついでに後ろに居た前澤先生の呆気にとられた顔。後ろからかすかに聞こえた、堪えても堪えきれなかったような笑い声。
恥ずかしさでその場から逃げたくなったけれど、背に腹は代えられぬと言う。私の変なプライドで学校に戻らせた上に、担任に散々小言を聞かされて、内申点までも下げられたら皆に合わせる顔がない。


