アウト*サイダー


「お前らはもう子供じゃないんだぞ。いつまでも甘ったれた考えを持つんじゃない」

 がらんどうなラーメン屋でリョウスケが変顔をしながら言ったのは担任の言葉だった。物真似とは到底言えないそれを、篠田さんはお腹を抱えて笑っている。

 須賀さんの家に戻り、制服に着替えて学校に着いたのは提出期限である十七時の十分前。

 真っ先に職員室に向かい、出迎えのは担任の前澤先生で、私達を見るなり面倒そうにしかめた顔で、先程リョウスケが言った言葉を、まさに吐き捨てたのだ。

「あれが教師の言葉か!? 都合の悪い事には目を背けた癖に、自分が優位に立てると思ったら、それっぽい正論ぶつけてさ! なんだよ……なんなんだよ!」

 珍しく荒れるリョウスケに篠田さんが笑うのを止めて、しょうゆラーメンをすする。

「ごめん、私だけで行けば良かったね」

 私が頼んだ味噌ラーメンを無愛想な店主が静かに置いた。隣のケイにも同じものを置く。

「ち、違う! 俺はハスミを責めたいんじゃなくて、とにかく、前澤がムカつくんだよ」

 私とリョウスケが肩を落として無言になる。麺が伸びてしまう前に食べようと箸を入れる。がらんどうな店の癖に美味しすぎて少し泣いた。軋んだ心に染み渡るような優しい味だった。

 私は正しくあろうとした。謝れば、事情を話せばきっと分かってくれる。それは確かに先生の言葉通りだったのだ。