アウト*サイダー


「それに、課題も提出しなきゃいけないでしょ?」

 なんとか皆をその気にさせようと、極々真面目に言ったのに、それが可笑しかったのか、スガシノコンビとハルちゃんまでもが笑う。

 何で笑うのかと詰問しても、可愛いだのなんだのと言って笑い続けている。 

「提出期限は確か……十七時じゃなかった?」

 堀江君がスマホで時刻を確認して言った。隣に居たリョウスケもそれを見ると、焦った表情になって「皆走れ!」と駆け出した。

 それを追う皆の背中。動けずにいた私の手を引いたケイを見上げる。

「ハスミ、ほら、行こう?」

 不安がなかった訳じゃなかった。過去あったように、誰もが私を疎ましく思って、私を否定するかもしれないと。

 けど、そんなことあるはずがなかったのだ。皆はそんな人じゃない。

 私が頷くとケイが目を細めた。手を握り返す。大きな手だ。私をいつでも安心させてくれる。

「ハスミーっ! ケイーっ! 急げー!!」

 夏休みは終わった。暑さはまだ残ったままだが、吹き抜ける風は少しだけ軽い。

 走り出す。皆の足音が街の喧騒にも負けずに響く。周りの人の怪訝そうな視線。心の中で“騒がしくてごめんなさい”と謝って、でも可笑しくて、楽しくて笑顔が溢れてしまった。