彼の耳障りな大声に私とケイが顔をしかめて耳を塞ぐ。リョウスケは今にも泣きそうだ。

「なんで……なんで……ダイに出来て、俺に出来ない? おかしいだろ。だって……あんな脳筋野郎より、俺の方が女子ウケするだろ? なぁ……なんで俺だけ……」

 意味不明なことをぶつくさ言い連ねる。

 私が思うに、そういう所が彼の言う女子ウケというものに値しないのでは?

「そんな目で俺を見るな。そんな……ゴミクズでも見るような目で! 二人にそうやって見られるだけでも今の俺には致命傷だ!!」

 大仰に自分で自分を抱き締めて、苦しむ素振りをするリョウスケに呆れて何も言えないでいた私の隣から鼻で笑った声がした。

 嫌な予感に頭痛がしてきた。気のせいではない。

「確かに、ゴミクズに恋する変人はいないよな」

 誰かケイの口を縫い付けてくれ。

「ケイの人でなし! 悪魔! ハスミも何か言ってくれよ。さすがに俺が可哀想だと思わないか!?」

 すがるような目で見るんじゃないよ。私はただの傍観者なんだ。

「メソメソするな。鬱陶しい」

 バッサリと切り捨てるケイの懐に、リョウスケは潜り込んですがり付くと「もう俺にはお前達しかいないんだよぉ……見捨てないでくれ……」上目遣いで訴える。

「……気持ち悪っ」

 無慈悲な悪魔には効果的ではなかったみたいだ。むしろ逆効果? 容赦ない強さで頭を押し返されていた。