「ハルルって、実は……めっちゃエロいよね」
彼女のオフショルダーの水着から見える谷間を上から覗きながら、須賀さんが真顔で言った。
「私も思った! 願わくは、たわわな房を少しでいいから触らせてほしーなー……とか思ったりして、ね?」
篠田さんの細めた目には下心しかない。宙を揉む手に、ハルちゃんが完全に怯えてしまう。
「二人とも気持ちは分かるけども……ハルちゃんの彼氏はすごーく恐ろしい奴だから止めておいた方がいいよ」
私の言葉に彼女の目が吊り上がった。おまけに頬を赤くさせる。私は他所を向いて吹けない口笛を吹く。
案の定、ハルちゃんから私に視線を向けた二人。しかし、その好奇心の目は私が予想していたものを超えていたことを後々思い知る。
熱々の鉄板から掬い上げられ、湯気を立てていたはずの焼きそばが誰の手にも付けられることなく冷め、その変わりに“女子の恋ばな”という一度火がつくと燃え上がり続けるそれを、私には止める術がなかった。
結局、焼きそばが私達の口に入ったのは、ハルちゃんから飛び火して、何故か私とケイの話しを洗いざらい自白させられてからだった。
女が団結すると怖い……という教訓は得た。
須賀さんと篠田さんに、どこか遠慮がちだったハルちゃんが、いつの間にか打ち解けていて、口を閉ざす私に寄って集って迫った。
更に、恥ずかしがりながらも皆で一緒に温泉まで入った。当然、二人からの軽いセクハラはあったが、ハルちゃんが怯えることはもうなかった。


