アウト*サイダー


 短い丈のワンピースだから、腕を上げたら裾も上がる。それを気にしてくれたんだろう。

 そんな細やかな気遣いができる彼に、どこまでも甘えそうで怖い。

 彼に甘えてばかりいると、彼が私の隣から居なくなった時、一人で立ち上がれなくなりそうで怖い。

 何より、突き放されて遠ざかる背中をもう二度と見たくない。

 嫌なことばかり思い浮かんでは消して、彼に気付かれないように溜め息を吐く。

 すると、突然電車が揺れて、隣にいた人の肩が私にぶつかった。しっかりと彼の腕を掴んでいなかったからバランスが取れず、咄嗟にケイの腕に抱き付くように倒れかかる。

「ハスミ、平気?」

「あっ……うん、ごめん」

 このままケイに抱き付いていたい。

 またそんな甘えたことを考えた私を恥じながら、ケイから距離をとった。

「ほら、ちゃんと掴まってて」

 彼には私の気持ちが全部筒抜けなのかな。今度は腕を組むようにして掴ませる。

 さっきよりも近く、密着した体温。私の顔を覗き込むケイが「映画の時みたいにもたれてもいいよ」と私の頭をそっと寄せる。

 何も言わない私に、それでも彼は笑いかけ、つり革を持ち直して前を向いた。