言われた通りにメッセージを送る。と、ふと思った。
「それを写真に撮って、どれが良いか聞く方が早くない?」
ワンピースの色は原色というより淡い色味だから、好みの色にはならないかもしれない。そもそも、ケイがどんな服装を好きなのか分からないのだから。
「……ハスミちゃん。それじゃあ、胸キュンしないのよ!」
「胸キュン?」
全く理解不能な私にハルちゃんが「良く聞いてね」と真面目な顔をするから、私も真剣に頷く。
「まず、色の好みを聞く」
ふむふむ。
「答えてくれても、聞いた理由は言わない」
ほうほう。
「そして、デート当日になって……」
なって?
「自分が好きだと言った色のワンピースを着た可愛い彼女を見る!」
おぉ!
「そして何を思うか? そう。自分の好みの為に着飾った彼女をより一層愛しく思うの! まさしく、これが胸キュン!!」
ほえぇー! ……って、待って。アイツがそんな、私達の思惑通りになるのかな。
一人、妄想の中でキャっキャっとはしゃぐハルちゃんを横目に、私は返ってきた返事を見る。ただ一言、『緑』とだけ書かれたそれに合わせ、彼女から淡いグリーンのワンピースを受け取って試着室に入った。
着てみて、より確信した。
アイツは多分色なんて見ない。
きっと……いや、百パーセント!


