広いショッピングモールをハルちゃんは何の迷いもない足取りで歩き、次々とショップの中に入っては物色していく。

 私はさながら歩くマネキンになって、彼女の後を追っては、その物色した洋服やら靴やら鞄やらをあてがわれた。

「あのぉ……ハルちゃん……まだ……」

「あ! そうだ、ハスミちゃん。宮永君に何色が好きか聞いてみて」

 いくらか回った店舗のうちの一つに落ち着いたハルちゃんに、やっとのことで話しかけたものの、見事に玉砕した。

 目の前で彼女が掲げるのは、おおよそ私が着たことも、ましてや着る姿も想像できないミニ丈のワンピース。

 今彼女が着ているシフォンのワンピースが膝丈ぐらいだから、それを基準にしてみても太ももがガッツリ出てしまう気がする。

 スクエアネックに袖はパフスリーブで、さらに可愛らしい小さな花柄ときた!

 さすがに抵抗感を覚える。

「それは私に似合わないと思うけどなぁ……」

 それとなく近くにあった無難で無地のロングワンピースを手に取る私を、すかさずハルちゃんが睨み付け、元あった場所に戻された。

「ブルーか、ピンクか、グリーンか。ほら、早く聞いて?」

「……はい」