それは確かに、現在でも似たような状況だ。今の担任も河西さんのグループには若干甘いし、まだ若い教師は彼女等に気に入られようとしているのが見え見えだ。

 そんな奴らに目をつけられている私達を教師達が助けてくれる可能性は限りなくゼロに等しい。

 まぁ、いざとなれば……

「堀江君は元気?」

 注文して出来上がったパスタをテーブルに置いたハルちゃんに問いかける。彼女の頬がたちまち赤く染まる。

 返事を聞かずとも二人がうまくいっていることを察して、手をつけずにいたパスタにフォークを入れた。

 ハルちゃんもそっと席に座って「もぅ、そうやってすぐからかうんだから」と、口を尖らせる。

「でも正直意外だったな。あの人、すんごい腹黒さを隠して普通に笑ってられるようなヤバい奴だったのに、ハルちゃんが告白を受け入れるなんて」

 断じて面白がっている訳ではない。あんな状況の中で笑い狂う様を見ても尚、彼女の目には格好いい堀江王子に見えたのか、純粋な疑問だ。

「ま、まぁ、あれはびっくりしたけど……でも、堀江君も、私があの時河西さんに言い返すなんて思ってなかったって言ってたし」

「つまり、お互い似た者同士のラブラブカップルってことね」