「あー、えーっと、そうだ! バイトまでの時間、ちょっとくらい空いてるだろ? それまで学校で……ほら、図書室で一緒に過ごすとか、駅前にもクレープ屋があるし、公園だって」
健気にリョウスケが、彼女のいないリョウスケが提案してくれて、私は嬉しさと哀れみで彼の肩をぽんぽんと叩く。
ケイもよほど感激したのだろう。目頭を押さえてリョウスケの肩に手を置いた。
「おい。おいおい。止めろよ、その相手いないけど、そういう妄想だけはしてて可哀想とか」
私とケイの手をしっしっと追い払って、リョウスケは何故か怒りながら昇降口の方へ行ってしまった。
「ハスミ」
遠い目でしかと悲しき背中をお見送りしていたが、呼ばれた方を向けば、ケイが気難しい顔をしていた。
「どうしたの、ケイ」
何を悩んでいるんだろう。何か困ったことでもあるのか。わりと真面目に心配する私に彼も真面目くさった表情で口を開いた。
「図書室で何するの?」
…………。はい?
あれ、どうしたかな。ケイの頭のネジ、どこかに飛んでったのかな。
「図書室は、本を読むところです……?」


