「今は何もしないから安心して。ハルちゃんが追い込まれるようなことはしないし、もし、私といるのが嫌なら、これまで通りにするから……」
「違うよ!」
私の手を掴んで眉根を寄せる。ハルちゃんは怒っていても可愛い。とか思ってるなんて言ったら、それこそキレられそうだから黙っておく。
「河西さんみたいな子たちに、目をつけられることなんて慣れてる。私が騒がない限り、すぐ飽きて何もしてこなくなる。だから、ハスミちゃんが悪者になる必要なんかない。もうハスミちゃんが傷つけられるのを見たくないの」
俯いたハルちゃんの頭を撫でる。顔を上げた彼女は私の表情を見て、また眉根を寄せていた。
「マイエンジェル……マジ尊い」
「もう! ふざけないで私の話を聞いて!!」
「ごめん、ごめん。でも、やっぱり、それじゃ何の解決にもならない。ハルちゃんも分かってるでしょ?」
鼻の下を伸ばすのを止めて尋ねた私に、ハルちゃんは言葉を詰まらせる。彼女は原因が何かを分かっていて、それでも我慢することを選ぼうとしているのか。
それこそ、違う。
間違ってる。
「好きっていう気持ち、ハルちゃんが一番大切にしないと。大事な気持ちだもの」


