「ごめんっ……ごめんね、ハスミちゃん」

 ハルちゃんの手が私の手を包む。

 温かくて優しい手。

 いつも私が引っ張っているようで、実は私を引っ張ってくれていた手。

 以前までの私だったら、離れていった子はみんな敵で、大嫌いだった。でもハルちゃんは違う。

「本当はハルちゃんに頼ってほしかった。辛いなら、辛いって言ってほしかった」

 分かってる。

 辛いことを打ち明けるのも辛いってこと。相手の重荷になるんじゃないかと不安になること。優しく気配りが出来るハルちゃんなら、尚更考えてしまうだろうということ。

「ハルちゃんの友達でいたい。ハルちゃんと一緒にいたい」

 それでも私は、ハルちゃんの辛さも、苦しさも、全部欲しがってしまう。

 上辺だけの関係でいたくない。そう思うのは、ハルちゃんだから。

 涙のダム決壊中なので拭っても拭っても落ちてくる涙。ハルちゃんも涙まみれで、顔が真っ赤になっていた。

 その顔がなんだか面白くて嗚咽交じりに笑うと「何で笑うのっ」とハルちゃんが珍しく怒った。

「やっと正直に話せたから、スッキリした」

 繋いでいる右手でハルちゃんを引き寄せ、バランスを崩して寄りかかった彼女を抱き締めたら、ハルちゃんが焦ったように私の名前を呼ぶ。

 その表情は見えないけれど、簡単に想像がつく。