「ごめん。私、間違えてばっかりで」

　ハルちゃんは戸惑いの表情を浮かべてオロオロする。

　緊張と情けなさと自分に対する焦れったさで目頭が熱くなる私に、彼女はかける言葉を失っているようだ。

　確かに、ハルちゃんの前でこんな姿を曝したことはなかった。

　心ない罵声を浴びせられても、好奇な目を向けられても私は泣かないようにしていたし、今だって本当はハルちゃんが安心できるように、迷いなく頼ってこれるようにしたかったのに。

「私さえ居なければ、私が標的になれば、ハルちゃんは大丈夫って思ってた。でも、間違ってた」

　否定するように首を横に振るハルちゃんの目にも、いっぱいの涙が溜められていて、それが大粒になって頬を流れ落ちる。

「お願い。大丈夫なんて、無理に言わないで」

　声が震えた。

「関係ない、なんて、言わないでっ……」

　いつも、いつも、自分のことしか考えなくてごめんね、ハルちゃん。

　私、ハルちゃんが思うよりずっと子供で、我が儘で、臆病だから。

　こんな風に離れる前は平気だと思ってた。今まで離れていった子達とハルちゃんも同じだって。だけど、ハルちゃんは優しすぎた。