『絶対見つけるから、そこから動かないで』

 何度も私を呼び掛ける言葉が続いた後のメッセージ。鼓動が速くなって、涼んだ体がまた熱くなる。

 携帯を見下ろしていた私の手を彼が握った。反射的に顔を上げる。

「ハスミの強がりが、俺をたまらなく不安にさせてることに気付いて」

 優しく微笑むケイの手を握り返す。

「うん、ごめんね。……あと、ありがとう、ケイ」

 ここが学校じゃなければ良いのに。周りを気にせず、今すぐケイに抱き付きたい衝動を抑えなければならない。

「堀江が謝ってたよ」

 何のことだか分からないで首を傾げる。

「ハスミの友達のこと。堀江はハスミを必要以上に追いこんでしまったかもしれないって」

「……堀江君に全部聞いた?」

 頷く彼に私は「そっか」と息を吐く。

 カッコ悪いな。自分が正しいと信じてしていたことが、全て裏目に出ていたんだから。そして、堀江君に謝らせたことも。

 心配そうに私を見つめるケイに笑いかける。自分で思うよりも弱っちい自分を、これ以上弱く見せたくない。でも、ケイはそれを見透かしたように顔をしかめて、私の頬を軽くつまんだ。

「言ったそばから強がってる」

 反論しようにも何も言葉が出てこない。私は諦めて、頬っぺたをぷにぷにする彼のされるがままだ。