口一杯に詰め込んだから、手で押さえて大きく咀嚼する私にリョウスケが呆れて笑う。

「さすがハスミだな」

 どういう意味だ、と無言で睨む。口の中でカレーパンが暴れて、まだ喋れそうにない。頬張りすぎたみたいだ。

 悪戦苦闘していると「ハスミ、教室まで送るよ」とケイが背中に手を当てて、私を押すようにして進み出す。リョウスケはダイを連れて教室に入って行った。

「そうだ……ケイは何で私の居場所が分かったの?」

 口の中を片付けた私が後ろを振り向く。ケイに変な顔を向けられた。眉を八の字に、口はへの字に。こんな顔文字ありそうだ。

 聞けば、まず私から送られたメッセージにいくら返事を送っても無反応で、リョウスケやダイに聞いても答えが分からない。私のただの冗談だと思っていたら、他の友人に私が堀江君と一緒に居たことを知らされたらしい。

「ハスミは俺をどうしても怒らせたいのかと思ったよ」

 細めたその奥の感情のない目が怖くて、笑って誤魔化す。ケイはポケットから私の携帯を出した。

「……まぁ、何にせよ、これからは一人で色々と抱え込まないようにしてほしい」

 彼から携帯を受け取って画面を開く。メッセージと着信が数件入っていて、リョウスケとダイが「どこだ?」とか「生きてるか?」とかを送っていたみたい。

 ケイからのメッセージを見る。