「俺……じゃなくて、ぼ、ぼくは、あなた様のお店で、働きたくお思いになりまして、志望致し、ました!」

 夏の晴天広がるグラウンドを背景に立つリョウスケ。

 私とケイは、昇降口を出てすぐの三段ある階段の二段目に座って、彼の肩越しに見える雲一つない空を遠い目で見上げた。

「……お、おーい? どうだ、二人とも。この後の面接、イケると思うか?」

 バイトの経験がなくても、というより高校生じゃなくて小学生でも結果は目に見えているように思える。

「ブー。不採用。帰っていいよ、君」

 手をシッシッ、と追い払うように振って言うケイ。リョウスケには悪いけど、彼に同意するしかない。

 リョウスケがバイトの面接の予行練習するから見てほしいと、放課後になって私たちに頼んだ。その時は、リョウスケ自身も余裕綽々といった感じで、私もそれに期待していた。

 そして、唯一バイトをしているケイが面接官となって「志望動機を教えてください」と、おそらくどのお店でも聞かれるであろう質問したら、だ。

 なんだ、この体たらくは。

「ていうか、よくそんなんで面接受かると思えたよな」

 ケイが鼻で笑う。それによって、リョウスケのモチベーションがポキリと折れた。あっという間に体を縮めて背中を向け、ヒック、ヒック、と肩を大きく揺らす。