ケイのことに関して私は、どうして、何故、と疑問に思うことが何度も、沢山あった。そのほとんどが、まだ謎のまま。
こんなキス一つだって、私達には大事になる。
泣きすぎて痛い瞼が重い。
彼のこと以外に、私を悩ませる大きな問題も、まだ何も解決しなくてやきもきしてるのに、私達の他に誰もいない殺風景な所で、好きだの嫌いだのと言い合っている。
皆、こんな風にして彼氏彼女になって、街中で腕を組んで、仲良さげにカフェでお茶して、SNSに写真を投稿しているのか。
あっぱれだわ、ほんと。
ただ、私の中で揺るぎないものが一つある。
それを今更なかったことにしようとしても、それを失った私は暫く登校拒否をするだろう。
そんなに大事なものを与えた彼には、さっきの言葉通り、責任がある。
「好きかどうか、まだはっきり分からない。でも多分好き」
曖昧な答えになるのは、どうか許してほしい。嘘は言いたくない。
「うん……そっか」
寂しげに笑うケイの胸に、私は予告もなく抱き付いた。彼が息を飲む。戸惑っているのか、遠慮がちにそっと肩に手を置いた。
「ハスミ……?」
「ケイに抱き締められるのは、間違いなく好き」


