怒られて拗ねるケイは親犬に捕まった子犬だ、なんて呑気にひとりごちていると、親犬がこちらにも鋭い目を向けてきた。
「こいつもこいつだけど、お前も嫌なら嫌と……」
しかし、その目は次第に開かれていき、しまいには指をさされて……
「おまっ、ケイを振った女だろ!!」
廊下中に声が響き渡る。
「うるさ……」
耳元で叫ばれてケイは迷惑そうに顔をしかめていた。
なんだか私の苦手な体育会系な感じに、若干引き気味になる。
「ダイ、それより早く体育館シューズ取りに行かないと間に合わないんじゃない?」
「そうだった! ほら、行くぞ!!」
ダイという男子が忙しなく走っていく後ろで、ケイが一度振り返った。私はなんだろうと首を傾げる。
「あんまり煽んないでよ。俺、ハスミのことになると暴走しちゃうみたいだから」


