多目的教室のある階に向かって階段を全力でかけ上る。けど、普段運動なんてしない帰宅部……ましてや体力がてんで無い私の足は早々にバテた。

 私がこうして急いだ所で、告白してる場に割り入ることなんて出来ないのだろうが、気持ちが焦る。とても落ち着いていられない。

 知らないフリをずっとしていても、本当はとっくに気付いている。

 ケイのそれと同等に、もしくは、それ以上に私は彼を独り占めしたい気持ちを抱いていると。

 膝に手をついてゼェハァと息も絶え絶えになりながら、一段一段上がっていく。その上から、こちらに下りてくる一人の女子。

 何気なく上げた視線の先で、その子と目が合った。

 ……それはそれは冷たい眼差しに。

 綺麗な子に睨まれると、その凄味が半端無い。思わず立ち止まって戦慄く私から、彼女はすぐに顔を背けて、私の存在など最初から無かったもののように、すっと横を通りすぎて行く。

 な、なんだ、あやつは!?

 あの冷たい、虫けらでも見たかのような目!

 私はちゃんと人間ですよー!

 負け犬の遠吠えだろうが、何だろうが、どうも気に食わない女子の背中に訴えてやる。