知らないケイをまた一つ知って、なのに、一歩遠ざかる、目に見えない私と彼の間。

「サラにさ、ハスミのこと話したら、ぜひ会ってみたいって言ってて、今度良かったら家に遊びに来てよ。俺が言うのも変だろうけど、サラとハスミは気が合いそうな気がする」

 ケイは今、本当はどんなことを思ってるの?

 知りたくて、彼の目を覗き込む。太陽の光が一つもなくて、白々しい蛍光灯に照らされる瞳は、それでも明るく透き通っていて、とても綺麗だ。

「……前から思ってたけど、ケイの目って綺麗だね。サラさんも、ケイみたいな目の色なの?」

「んー? どう、だったかな……。というより、ハスミ、珍しく大胆だなぁ。そんな見つめられて、俺、キスされるのかなって期待しちゃうんだけど」

「はっ!?」

 ヘラヘラしたいつもの笑みで、瞬く間に繋いでいた手を私の背中に回して指を組み、逃げられないように私を拘束した彼の腕の中で暴れてみるけれど、無意味でしかない。

 わざとらしく唇を突き出して顔を近付けてくるケイ。その顎をぐいぐい押して抵抗する。「相変わらず……照れ屋、なんだから……うぅ……」最終的に私が勝った。