言ってて恥ずかしくなってきた。
別に告白した訳じゃない……そうじゃないから!
自分に言い聞かせて、ケイから手を離そうとした……が、全く離せない。彼を見てみると、そこに満面の笑みがあって、嫌な予感に顔をひきつらせる。
「ほ、ほら、私達も早く授業に出ないと、ね?」
妙な雰囲気を蹴散らそうと、ほらほら! と、腕を引っ張り、無意味に上の方へ視線を向けたりしたけれど、目がなくなるほど細めたケイの目には、それが見えなかったのかもしれない。
「ハスミも俺のこと好きになってくれたんだ! 今日からハスミの彼氏だ!」
何故そうなるかっ!?
心の底からのツッコミが彼に届くことはないだろう。
何をもって、どう解釈すれば、そういう答えに導けるのかケイの頭の中を覗きたいくらい謎だが、最高潮にテンションが上がっている彼は、先程までの落ち込みようが嘘みたいに、ウキウキした様子で私の手を引っ張って、教室へと急ぐ。
……まさか、とは思う。
そんなこと、しないよね。
「クラスの皆に言うはず、ないよねー?」
「え……そのつもりだけど」
私達の間に雷が落ちた……かのような衝撃に目眩がする。
いくらなんでも、授業中の教室にいきなり二人で現れて『私達付き合います』とか言っちゃうのはぶっ飛び過ぎでしょ。


