泣き顔なんか、見たくない



部活に入っていないのは知っていたけど、ここでバイトしてたんだ。


上野くんはあまり女子と話さない人だから、詳しいことは知らない。


1年のときも同じクラスだったけど、業務連絡くらいでしか会話をしたことがないと思う。



「どうかしましたか?」



あたしのつぶやきになんの反応もせずに、視線をだいちゃんに移した上野くん。


目が、ちょっと睨んでいるように見えるのは、…気のせい?



「…ごゆっくりお過ごしください」



だいちゃんの言葉も無視して顔を正面に向けた上野くんは、軽く微笑んで去っていった。



「ナナ、知り合い?」


「あ、うん。クラスメイトの上野くん」


「ふーん。…そう」


「だいちゃん…?」



一瞬、怖い顔をしただいちゃんに、ゾクリとする。



「ん?なに?ナナ」



けど、次の瞬間、だいちゃんの顔には笑みが戻っていて。


でも、なぜだか、ほんの一瞬だいちゃんが怖い顔をしたのは、気のせいじゃないと思った。