その男は、いつも、林さんじゃない女の人とふたりで来ていたんだ。
覚えてる。間違いない。
だって昨日も、この店に来ていたから。
女の人が水をこぼしてしまって俺が対応したんだから、間違えるはずがない。
だとしたら、林さんは?
林さんは、この男にとってなんなんだ?
そう思ったら、無意識にその男をにらんでいた。
林さんは騙されてる。
目の前にいる、この男に。
" だいちゃん "なんて、そんなに愛おしそうに呼ぶなよ。
そいつはクズで最低な男だよ。
なあ、林さん。
目を覚ましてよ。
そいつはきっと、林さんを傷つける。