あるとき、林さんに彼氏がいることを知った。
" だいちゃん "
林さんは彼氏のことをそう呼んでいて。
愛おしそうにその名前を口にする林さんを見て、胸が高鳴った。
同時に、なにかにギュッと締め付けられて、すこしだけ苦しかったのも覚えている。
夏休みにカフェで始めたバイト。
二学期の初日、いつものように働いていると、うちの学校の女子の制服を着た人が来店した。
彼氏とデート中の、林さん。
幸せそうな顔をしていて、苦しくなったけど、林さんが幸せならいいか。そう思っていたのに。
林さんの彼氏の顔に、見覚えがあった。
すこし考えてハッとした。
林さんの彼氏は今まで何度も来てくれている人で。
…それだけなら、よかった。