泣き顔なんか、見たくない



「浮気されても、…それでも、好きな気持ちは簡単には消えないよ」


「バカなの?」


「…うん。ごめん。あたし、バカだから」



そう言って笑うと、早苗は「もう知らない!」って、お弁当を一気に食べ始めた。



そのあとの授業も、午前と同じように集中なんてできなくて。


ずっと同じことが頭の中をぐるぐると回っていた。



「林さんって想像以上にバカなんだね」


「え、」



終礼のあと、帰る気力もなくてずっと座っていると、後ろから声がした。



「彼氏に他に女がいること知っててよく付き合い続けられるよね」


「……聞いてたの?」


「聞こえたの間違い」



後ろを向くと、上野くんがじっとこっちを見ていて。


なんだか、全部見透かされているような気になった。