泣き顔なんか、見たくない



混乱する頭を落ち着かせようと深呼吸をしたけど、手が震える。



" ねえ、だいちゃん。勝呂美和って、…だれ? "



そう聞きたいけど、そんなこと聞けない。


だいちゃんの返す答えも、聞きたくない。



胸がぎゅっと締め付けられて、どうしようもないくらい、苦しい。



「ナナ、どうした?」


「なっ、なんでもないよ?」



だいちゃんにばれないように焦って、声が上ずってしまった。



「なんでもなくないだろ。顔色も悪いし」


「そ、そうかなっ?」


「そうだよ。今日はもう帰ろう」


「……」


「ナナ?」



だいちゃんの帰ろうに、返事ができない。



だって帰ったら、だいちゃんは女の人のところへ行くんでしょ?


一緒にロールキャベツ、食べるんでしょ?



だけど。



「……そうだね。もう、帰ろう」



泣きそうなのがばれないように、無理やり口角をあげて、笑った。