「ナオくん」 わたしの声に、ベッドの上に座って窓の外を眺めていた彼は振り向く。 「沙世(さよ)。おはよう。」 「今日も寒いね」 「12月だからね。」 少し顔色の悪いナオくんを見て、私は上着を脱いだ。 「ナオくん、これ…」 「ダメだよ、沙世。着な」 「でも、ナオくんの方が…」 「俺は大丈夫。沙世は女の子なんだから、もっと自分の体考えな」 …ああ、もう、ずるいよ。 ナオくんはそうやっていつも私の心の中をかき乱す。