病室をドアの隙間からそっと覗く。


祐美さんが泣きながら何か言って、ナオくんがそんな彼女の体を抱き寄せる。優しく、腫れ物にでも触るかのように。


そして、本当に優しく、唇と唇が触れた。


そこには、私には絶対に手に入らないものがあった。


…私が、何よりも望んでいるものがあった。


心臓が、凍りついていくような気がした。


こんな気持ちになるなら、幼なじみなんかじゃなきゃよかった。


中途半端な特別に溺れるくらいなら、いっそのことあなたになんて出逢わなければよかった。