すきらい。

あの後白石はお医者さんを呼び、家に帰った。

「なつめ、ちょっといいかしら。」
「なに?お母さん。」

「こんなタイミングで悪いんだけど、お父さんのお仕事の関係で引越しすることになったのよ。」

「えっ…どこに?」

「アメリカよ。」
「アメリカ!?」

私は先生のことをすぐに考えた。

「な、なんでいまなの!私、好きな人がいるのに!」

「知ってるわよ。宮島先生でしょ。」
「な、なんで知ってるの!?」

「わかるわよ、これでも17年間あんたの母親やってんだから。でもね、先生を好きでいるってことは、先生に迷惑がかかるってことを少しは考えなさい。」

(そうだ、私は決めたんだ。先生をきらいになるって。先生をあきらめないとまた先生を傷つけてしまうかもしれない。)