すきらい。

〜先生の病室〜

私は先生の手を握る。

「先生、お願いだから目を開けて。」
自然と自分の握る力が強くなる。

「…っし、らいしか…?」
「せ、せんせいっ!」

私は先生に抱きついた。涙が止まらなかった。
先生は優しく私の頭を撫でながら、ありがとうと言った。

〜先生side〜

頭がぼーっとする。事故に遭ってからというもの、ずっと暗闇にいるような、そんな気がするんだ。
*
*
俺は、死んだのか?
今俺はどこにいるんだ。

ま、そんなのどうでもいいか。

俺が死んでも家族はもういないし
悲しむやつなんていねーよな。

それに
生徒を助けて自分が死ぬなんて本望だよ。

「…せん…せい…せんせい」
この声、白石か?

「ごめんなさい先生。」
白石、謝るなよ。お前を助けられて死ねるなんて俺は幸せだ。

「先生、大好き。これで最後。」
…そっか。やっぱ本気だったんだな。
これで最後って、どういう意味だ。

〜次の日〜

あー俺はまだ生きてるのか。

白石…。

って俺!ないないない!あいつは生徒だろーが。

「先生、また会いに来たよ。」
白石っ!また来てくれたのか。

「ごめんね先生。」
だから謝るなって。

「先生、今日ね。学校でみんなが先生のことすごい心配してたんだよ?」
そうなのか…。

「先生がいないとみんな元気がなくてさ…っ…教室が…っ…暗くてさ…」
おい泣くなよ白石。
って声出てないのか。

あー早く白石と話したい。

白石のおかげで生きたいと思えたって、ありがとうって言いたい。

〜数日後〜

あれから白石毎日来てくれてるんだよな。
いつも学校の様子とか話してくれて、
すごく嬉しいんだ。

「先生、お願いだから目を開けて。」
…っあれ、白石が見える

「…っし、らいしか…?」
「せ、せんせいっ!」

白石が俺に抱きついてきた。
白石の泣いている声や白石の体温が伝わってきて、それがとても愛らしく思える。

「ありがとう。」
お前のおかげで生きたいって思えたんだ。