久し振りに会ったのは夏休み。
東京から帰省して、少しは暑さの緩和を願っていたのに、寝ているだけでも汗を掻く。
クーラーの無い家で快適に過ごせる筈もなく、特等席の扇風機の前で、わたしも、地元の大学に通っている姉も何度も唸っていた。
「陽向、アンタ邪魔。大体2人でこんなひっついてたら余計暑苦しいじゃない」
「だったらお姉ちゃん退いてよ。課題あるんでしょ」
「陽向に言われたくないわね」
「わたしは昨日終わりましたぁ」
わざと間延びした声を出すと、お姉ちゃんは不機嫌そうに眉を顰めた。課題のあまりの多さに憂鬱らしい。だったら早く終わらせればいいのに。は、禁句だ。夏の苛つきには特に。
