「ジュリー!!」



ジンワリと汗ばむ残暑の厳しい9月。長いようで短かった夏休みが明けた。
私は一ノ瀬ジュリ。17歳の高校2年生。
そして高校の門に足を踏み入れると、私の名を恥じらいもなく大声で校舎から叫ぶアホは幼馴染の池田ハルト。同じく17歳。



「(声がでかいっつーの)」



教室の窓から覗くハルトをキッと睨むと、ハルトはニヤニヤと口角を上げ微笑んだ。



「あーハルト君だ!相変わらずカッコいいねぇー!!」



「やっぱさぁ...ハルト君って一ノ瀬さんとデキてんのかなぁ...ショックぅ〜」



「でも一ノ瀬さんならお似合いだよねぇ〜美男美女って感じで絵になるもん」



「えー!でも一ノ瀬さん綺麗だけど愛想悪いし性格も悪いって噂だよ」



「シーーー!!馬鹿!目の前に本人いるのに聞こえちゃうって」



背後から女子達の会話がヒソヒソと聞こえてくる。

...あぁ、だから嫌なんだ。

ハルトに関わるとろくな事がない。昔からそうだ。