利用って何それ、意味わかんないし。
ぐっと唇を噛みしめる
陸たちの声は、もうすぐそこ
「いいの?このままじゃ俺と一緒にいるとこ見られちゃうよ」
藤堂は、本当に自分勝手で、ワガママ
…こんな奴しか頼れないなんて、本当、
「おいで、千紗」
最悪だ。
腕を広げたあいつの中に、飛び込む
ふわりと石けんの匂いがして
ギュッと抱きしめられて
ドキドキして
「……1日10分ね」
なんて耳元で言う声がくすぐったくて
陸の声が通りすぎて
何だか泣きそうになって
あぁ、私寂しいんだなって自覚して
藤堂の背中に回した腕に力を込めた